首都高湾岸線の「荒川に架かる橋」が“大手術”実施へ! “サビだらけ状態”を7年半かけて完全リフレッシュ! 「総額110億円」の“世紀の大工事” 「荒川湾岸橋」修繕現場を公開
7年半・110億円かけて「首都高の“最重要ポイント”」をリフレッシュ!
首都高速は2026年8月6日、湾岸線の新木場出入口〜葛西出入口間にある「荒川湾岸橋」の大規模修繕工事の内容を、メディア向けに初公開しました。
この大規模修繕工事は7年半かけて、劣化の激しい橋梁の約半分をリニューアルします。
【画像】「えっ…」 これがサビだらけになった湾岸線「荒川湾岸橋」の状態です 画像で見る(30枚以上)
湾岸線は千葉県市川市の高谷JCTから、浦安・葛西・新木場とJR京葉線に並行して進み、その後は臨海副都心や大井、羽田空港周辺など、東京港を通過。多摩川をくぐり、川崎浮島や東扇島、大黒、本牧、磯子を経由して終点の横浜市金沢区の幸浦に至ります。
2001年に全線開通した全長約62kmの路線で、東京湾半周を結ぶルートであることから、東京湾周辺の海上輸送を支える大型貨物車を中心に、羽田空港方面のバス、さらに東京ディズニーリゾートやお台場エリアなどの観光ポイントの需要も抱え、全国屈指の交通量を誇る、まぎれもない都心の大動脈です。
このうち荒川湾岸橋は、荒川を渡る区間の新木場出入口〜葛西出入口間に位置するトラス橋で、延長は約840mあります。
同区間は、横浜・東京湾方面と葛西・千葉方面を往来する交通を一挙に引き受け、極めて高い需要があります。

2021年度の道路交通センサスによれば、荒川湾岸橋を含めた新木場〜葛西間の平日昼間12時間交通量では約10万5000台と、首都高のみならず、阪神高速なども含めた都市高速道路全体でトップの交通量となっています。
そんな荒川湾岸橋ですが、開通したのは約50年前の1978年1月で、湾岸線では大井〜13号地(現:臨海副都心)間にある「東京港トンネル」に次ぐ第二期目の区間に含まれ、かなり歴史のある橋でもあります。
開通から半世紀が経過し、大型貨物車などの重量級の車両の通行によって蓄積したダメージが大きいことに加え、荒川の河口にほど近く、海風による塩害で、近年では劣化が顕著になってきているといいます。
![首都高湾岸線「荒川湾岸橋」の下。すでに足場が組まれている[撮影:くるまのニュース編集部/2026年8月6日撮影]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2027/08/20260806_shutoko_arakawa_bdg_001.jpg?v=1786068016)
首都高ではこれまでも、小・中規模の補修工事をしており、当面の間の安全は確保しているとしつつも、腐食など深刻な損傷も確認されているとのことです。
2002年から2022年にかけての点検では、約4500件の損傷が確認され、そのうちの41%が腐食によるもの、12%が塗膜の劣化だったといい、なかでもトラスが交差する「ガセットプレート」の腐食が多いといいます。
そうしたことから、安全・安心な通行を実現するために、橋全体の安全性を抜本的に回復させるべく、2025年11月から大規模な修繕工事を行うこととなりました。総額110億円かかる世紀の大プロジェクトです。
工事は、まず東京側の約半分の区間で7年半かけて実施。建設時の塗装や補修で塗り重ねた塗装をすべて剥がし、新たに塗装をしなおします。そして損傷が確認された箇所を修理します。
また、工事とともに足場が必要になりますが、これを恒久的に設置し、今後のメンテナンスをしやすくします。
もちろん、橋そのものを架け替えられれば、少しずつ補修工事する必要はなく、一気に新橋に取り替えられますが、都市高速トップの交通量があることや、そもそも位置している場所も荒川の上であり、付近にはJR京葉線や357号が並行していることから、工事は不可能です。
こうしたこともあり、現橋はそのままに、一気に大規模修繕を行うという選択肢が取られたかたちです。
さて、その工事の内容ですが、東京側からA工区〜I工区と9つの工区に分け、それぞれで足場の架設と補修・補強、塗装の塗り替えを行ってきます。まずはE工区までの作業が実施されます。
補修は先出のガセットプレートの交換、破断したボルトの交換など多岐におよび、塗装は現在塗布されているものに除去剤を吹き付けて落とす「ブラスト工法」を採用。そして新たに耐久性の高い塗装を施します。新しい塗装は「ウォーターサイドブルー」という薄いブルーになります。
なお、足場は橋の下からチェーンで吊る「吊り足場」で、場所によっては3階建てのような構造となっています。
想像以上に深刻な「サビ」との戦い
では、現場の様子はどうなっているのでしょうか。
工事の拠点は357号の「新木場」交差点にある保守基地です。ここからちょうど橋の下に設けられた吊り足場に入っていきます。
吊り足場はジャングルジムのように複雑に入り組んだ足場が架けられ、トラスの上から下まですべてで作業ができるようになっています。
途中途中には、トラス構造が背の高さより低い部分を通過していることから、かがむような姿勢で通過する必要がある箇所もあります。もちろん、吊り足場の下はすぐに荒川の河口です。トラスの複雑な構造と、吊り足場の幾何学的な構造がなんとも物々しい雰囲気ですが、「構造物マニア」が見れば絶景といえるかもしれません。
![首都高湾岸線「荒川湾岸橋」の下。すでに足場が組まれている[撮影:くるまのニュース編集部/2026年8月6日撮影]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2027/08/20260806_shutoko_arakawa_bdg_007.jpg?v=1786068008)
トラス本体やガセットプレートの接続部分を見ると、その劣化は離れていてもわかります。激しく錆で腐食し、ボルトが破断しているものもありました。
トラスは橋全体で1700箇所、ガセットプレートも今回の半分の工事で100箇所があり、それらを締結しているボルトはかなりの数になります。気が遠くなるような工事となりますが、それらをひとつずつ補修することで、道路としての信頼性は抜群に上がります。
また、これまでの補修で塗り重ねた部分の腐食もありました。腐食がミルフィーユのような状態になり、「直しては腐食」が何度も繰り返される状況で、厳しい環境に晒されることがわかります。
2032年に半分の工事が終わり、その後も千葉方面の工事が進行する予定で、2040年頃には生まれ変わった荒川湾岸橋の姿を見ることができそうです。
今回の工事に関し、首都高速道路 東京東局 保全管理課の内海 和仁 課長は以下のように話しています。
「荒川湾岸橋は1978年に供用開始し、45年以上が経過しております。1日約16万台の交通量を担っており、首都高の物流・交通を支える極めて重要な土木インフラです。
しかし、海に近い厳しい環境下にあり塩風の影響を受けやすいため、これまで点検を行い当面の安全性は確保しつつも、損傷の都度部分的な補修を繰り返してきた経緯があります。近年では下地からの塗膜の大規模な剥がれ、急速に進む鋼体の腐食、一部部材では断面欠損や破断といった深刻な損傷が顕在化しております。
荒川の上という立地から足場設置などに制約があり、都度の補修ではコストや時間を要するほか、広がる劣化に対して十分な対応がしきれなくなってきた現状があります。また、両側に国道357号とJR京葉線が並行して走っており、迂回路の確保も困難なため、橋自体の架け替えも非常に困難です。
そこで私たちが考えたのは、損傷が深刻化して使用限界に至る前に、100年先を見据えた長期耐久性の確保を目指した抜本的な大修繕を実施することです。
剥がれやすい既存塗膜をすべて除去して高耐久な塗装へ塗り替えるほか、不足した部材の交換・補強、点検用通路の増設などを行い、構造物の健全性を抜本的に回復させ、今後の維持管理を大幅に改善してまいります」。

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