「ヘッドライトが“まぶしすぎるクルマ”」最近なぜ増えている? 信号待ちで「ライトを消さない人」が多数派に!? 夜間のヘッドライトにまつわる“新たな常識”とは!
「ヘッドライトが“まぶしすぎるクルマ”」最近なぜ増えている?
最近、夜間の運転中に、対向車のヘッドライトを以前より眩しく感じることが増えました。
【画像】ええぇぇ! これが「ヘッドライトが“まぶしすぎるクルマ”」が増えた理由です!(20枚)
これは、LEDなどの進化でヘッドライトの輝度が向上したことに加え、日本の交通ルールと運転習慣が変化していることが大きく影響しているようです。
一体どういうことなのでしょうか。

ヘッドライトの使い方の変化の背景には、法規の解釈の転換があります。2018年には車検の測定基準が「ロービーム」に変わるなど、ロービームが基本になったかに見えますが、実際には夜間に「ハイビーム」で走行をするクルマが増加しています。
その理由は、2017年の改正道路交通法施行に伴い改訂された「交通の方法に関する教則」にあります。
この教則に「交通量の多い市街地などを通行しているときを除き、上向き(ハイビーム)」という文言が新たに加えられました。
これまで、道路交通法上の「前照灯」という言葉はハイビームとロービームの両方を含み、どちらを基本とするか曖昧でした。しかし、この教則の改正により、国が「ハイビームでの走行が原則」という方針を示し、教習所の指導もハイビームの使用を積極的に促す方向へ変わったのです。
その結果、夜間の運転でハイビームを使用するドライバーが増え、対向車とすれ違う際にロービームへの切り替えを忘れてしまい、眩しさを感じさせるケースが増えたと推測されます。
ただし、ハイビーム走行が常に許容されるわけではありません。交通量の多い市街地や、対向車・先行車がいる場合は、必ずロービームに切り替えることが法律で義務付けられています。
これを怠ると「減光等義務違反」となり、悪質な場合は「妨害運転(あおり運転)」と見なされる可能性もあります。
また、自動で光軸を調整する「オートハイビーム機能」搭載車でも、システムの検知の遅れなどにより、意図せず相手を眩惑させてしまう可能性も考えられます。
眩しさの問題は、走行中だけでなく、信号待ちの際にも見られます。以前は、信号待ちでは対向車への配慮からヘッドライトを消灯し、車幅灯のみにするのが一般的でした。しかし、この慣習にも変化が生じています。
元教習所指導員のI氏に橋を聞いてみると、「近年は安全確保の観点から、信号待ちでもヘッドライトを点灯したままにするクルマが増えている」といいます。
というのも、消灯すると他車や歩行者からの視認性が低下したり、青信号になった際に点灯を忘れたりするリスクがあるためです。
「ヘッドライトはつけたまま」を基本とすることで、これらの不安要素を減らす狙いがあります。
法的な側面では、道路交通法では夜間の点灯が義務付けられていますが、信号待ちを含む「停車・駐車時」に関しては、テールランプやハザードランプの点灯が義務付けられているものの、ヘッドライトについては明確に言及されておらず、解釈に曖昧さが残ります。
しかし、万が一の違反を防ぎたいというドライバーの意識や、オートライト機能の普及により、ドライバーがヘッドライトのオン・オフを意識する機会が減った結果、信号待ちでも「つけっぱなし」のクルマが多数派になっているのが現状です。
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光の感じ方には個人差があり、ハイビームとロービームの切り替えや、信号待ちでの点灯・消灯の判断は難しい問題です。
しかし、法令も機能もマナーも、すべては「より安全に」という目標に向かって変化していると言えるでしょう。

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