クルマの進化を支える中核に! マツダ新型CX-5に採用されたパナソニック オートモーティブシステムズ開発の「コックピット・ドメイン・コントローラー」とは?
コックピット全体を統合制御するCDCを自社開発
パナソニック オートモーティブシステムズは2026年7月7日、マツダの新型「CX-5」向けに開発したコックピット・ドメイン・コントローラー(CDC)を発表し、その概要についてメディア向けの説明会を都内で開催しました。
【写真】新型CX-5の進化の中心となった「CDC」って何だ?(29枚)

今回の発表で最も注目すべきは、パナソニック オートモーティブシステムズが初めてコックピット全体を統合制御するCDCを自社開発したことです。それは単に新しい車載コンピューター(ECU)が誕生したという話ではなく、同社が従来の車載機器メーカーから、SDV(Software Defined Vehicle)時代を支えるプラットフォームメーカーへと大きくかじを切ったことだと思います。
これまで同社は、ディスプレイオーディオやカーナビゲーション、メーター、ヘッドアップディスプレイ(HUD)など、それぞれ独立した車載機器を開発・供給してきました。しかし、自動車がSDVへと進化する中では、こうした機器を個別に制御するのではなく、1つの高性能コンピューターで統合的に制御することが求められるようになっています。
オーディオやカーナビなど周辺機器を含めたソフトウエア更新が可能に
そもそもSDVとは、ソフトウエアによってクルマの価値を高めていく考え方です。スマートフォンがアップデートによって新機能を追加していくように、クルマも購入後にOTA(Over The Air)によるソフトウエア更新で性能や機能を進化させる時代へと移行しつつあります。そのためには、複数のECUを効率よく統合し、継続的にソフトウエアを更新できる基盤が欠かせません。その役割を担うのがCDCなのです。

今回発表されたCDCは、車載インフォテインメント(IVI)、フル液晶メーター、HUDという3つのECUを1つのユニットへ統合している点が大きな特徴です。そこへOTAマスターを搭載したことで、CDC本体だけでなく周辺機器まで含めたソフトウエア更新が可能となり、クルマは納車後も継続的に進化できるのです。
また、「VirtIO」という仮想化技術を採用した点も見逃せません。ハードウエアとソフトウエアを切り離して開発できるため、新機能の追加やソフトウエア資産の再利用が容易になり、開発効率も向上します。SDV時代の車載コンピューティング基盤として、将来性を十分に見据えた設計となっていると言えるでしょう。
クルマがドライバーの特性を把握!?
一方で、このCDCの魅力はコンピューター性能だけにとどまりません。パナソニック オートモーティブシステムズが掲げる「Human-Centric(人中心)」という考え方を具体的な車室空間へ落とし込んでいる点にも大きな価値があります。

センターディスプレイ、メーター、HUDの3画面をシームレスに連携させるだけでなく、音響やアンビエントライトまで統合制御。ドライバーが乗り込んだ瞬間から表示や照明、音が連動する「ウェルカム演出」を行うほか、顔認識によってドライバーを識別し、シートポジションやエアコン、オーディオ設定、ディスプレイ表示などを自動で呼び出すパーソナライゼーション機能も備えています。
つまりCDCの採用は、クルマがドライバーに合わせて最適な車内環境を自動的に作り出し、一人一人に合わせた快適な移動空間を提供することを目指しているのです。
操作性にもこだわりました。マツダCX-5が標準搭載しているGoogle Built-inに対応し、Googleマップや各種アプリを利用できるほか、Unityによる高精細な3Dグラフィックスや高度な音声操作にも対応しています。必要な情報をセンターディスプレイだけでなくメーターやHUDへ表示することで、視線移動を最小限に抑え、安全な運転環境を実現しているのです。この考え方は、マツダが目指す「運転に集中できるコックピット」とも高い親和性があると感じました。
長年の協業関係を背景に誕生
この背景にあるのが、マツダとパナソニック・オートモーティブシステムズが長年にわたって継続されてきた協業関係です。

両社は1959年から取引を続け、2014年以降はCMU(Connectivity Master Unit)やHUD、フル液晶メーターなどを共同開発してきました。その技術やノウハウを積み重ねた成果が、今回のCDCへと結実したのです。発表会ではマツダから「OEMとサプライヤーの関係を超えた共創パートナー」と紹介され、日本発のSDVプラットフォームとして世界へ展開していく考えも示されました。
今後、クルマの価値がソフトウエアによって決まる時代が本格化する中で、CDCは車室空間全体の「頭脳」として存在感をさらに高めていくはずです。その意味でも今回の製品は、その新たな時代の幕開けを告げる第一歩として、パナソニック・オートモーティブシステムズの今後を占う重要なマイルストーンとなるのではないでしょうか。

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