2026.05.31
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バイク特有の“スマホナビ問題”を解決!? 矢崎総業が「2輪車向けスマートメータ」を披露! ワイヤーハーネスのリサイクル技術も紹介

“クルマと社会と未来”をつなぐ矢崎の技術

 2026年5月27日から5月29日までパシフィコ横浜 (神奈川県)で開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に、矢崎総業が出展しました。

【画像】矢崎の「2輪車向けスマートメータ」や「PVCリサイクル技術」 詳細を画像で見る

 2026年5月27日から5月29日までパシフィコ横浜 (神奈川県)で開催された「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」に、矢崎総業が出展しました。

 矢崎総業は、自動車用ワイヤーハーネス(組み電線)を主力製品とする大手部品メーカーです。

 ワイヤーハーネスは、クルマの「神経」や「血管」に例えられる重要な部品。各部品へ電力を供給し、情報を伝達する役割を担っています。

 同社はこれに加えて、メーターやヘッドアップディスプレイなどの計器類、各種センサー、電子制御ユニットなど、車載機器の開発・製造を幅広く行っています。

 自動車の電動化やコネクティッド技術が普及するなか、車内の電力および通信ネットワークに関わる製品群を数多く展開しているのが特徴です。

 そんな矢崎総業が、今回の人とくるまのテクノロジー展で掲げた出展コンセプトは、「つなぐを、つくる、おもしろく。」です。

 同社が長年培ってきた「つなぐ」技術を単なる仕組みにとどめず、その先にある可能性をユニークな形で表現し、未来を動かしていきたいという強い思いが込められています。

 会場では、車両の高速通信化や電動化を支える製品群を中心に、UX向上やカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーに貢献する材料技術なども出展。

 クルマの情報や電気の流れを可視化した「YAZAKI Solution」は各部所に搭載された矢崎製品の機能や働きをわかりやすく説明するために製作されたモックです。

 乗員の操作や車内外の情報を、センサやECUがどのように処理しているか、ワイヤーハネスがどう分配しているのかを見ることができます。

 “車内インフラの安定性”を支える製品として、電気自動車(BEV)の拡大により重要性が増している、バッテリーの熱マネジメントや電流値コントロールを担うセンサー類も数多く展示されていました。

 クルマと社会と未来をつなぎ、モビリティ社会をより良くすることを目指す同社の姿勢が、展示全体を通じて表現されていました。

走行中の不安を解消する「2輪車向けスマートメータ」

 人テク展において初の展示となったのが「2輪車向けスマートメータ」(コンセプトモデル)です。

 2輪車を運転する際、スマートフォンのナビゲーション機能などを使用したいという要望は非常に多いものの、走行中の振動や天候によるスマートフォンの故障リスク、さらには手袋をした状態での操作性に不安を感じるライダーは少なくありません。

 この課題を解決するために開発が進めてられているのが、今回のスマートメータシステムです。

矢崎総業の「2輪車向けスマートメータ」
矢崎総業の「2輪車向けスマートメータ」

 同製品は、スマートフォンのナビゲーションなどのコンテンツを、メーターのディスプレイに直接転送して表示できる点が特徴。

 通信にはBLE(Bluetooth Low Energy)といいう電力消費の少ないBluetoothの規格を採用することで、スマートフォンのバッテリー消費や発熱を効果的に抑制しています。

 さらに、走行中の安全性を高めるため、表示機能の操作は音声UIを用いたハンズフリーで実現されており、ライダーの利便性と安全性を両立させています。

 展示ブースの担当者は開発の背景について下記のように語ります。

「スマートフォンのナビを使いたいという声は多いものの、マウントユニットを使用して設置する場合、振動の影響で壊れてしまうといった問題がありました。

 そこで、BLEを使った電池消費の少ない通信規格を採用し、ライダーがスマートフォンをポケットに入れたままでナビゲーションの画面をメーターに表示できるシステムを構築しました」

 さらに、製品について「これまでのような矢印だけの表示ではなく、地図の表示も可能になっています。また、純正メーターであるため手元の純正スイッチで操作できるのも大きな強みです」と、スマートフォンと車両をシームレスに連携させることによる利点を語りました。

 また、2輪車メーカーが保有するスマートフォンアプリに専用のSDK(ソフトウェア開発キット)を組み込むことで、表示するコンテンツを容易にカスタマイズし、アップデートできるという拡張性の高さも備えています。

 担当者によれば、今後は提案型の機能の追加も考えているとのこと。

「例えば、この先雨が降る予報だったとしたら、休憩を推奨し、休憩するのにオススメの場所を提案する。

 また、道にポットホールと呼ばれる穴があいていることを、他ユーザーの報告と連携させて事前に知らせることができるようにしたいと思っています」

 このスマートメータは現在、量産化に向けて二輪メーカーとの話し合いが進められているそうです。

廃棄物を資源へ! ワイヤーハーネスのPVCリサイクル技術

 もうひとつの注目技術が、環境負荷の低減を目指した「ワイヤーハーネスにおけるPVCリサイクルへの取組み」です。

 現在、欧州のELV(使用済自動車)規則の改正により、自動車に使用される樹脂材の25%以上にリサイクル材を使用することの義務化が検討されています。

 地球環境を保全しサーキュラーエコノミーを実現する観点からも、数多くの樹脂材料が使用されている自動車用ワイヤーハーネスのリサイクル技術確立は急務となっています。

 矢崎総業は、ワイヤーハーネスの主な材料のひとつであるPVC(ポリ塩化ビニル)のリサイクル材を独自に開発。2030年の完了を目標に自動車部品への採用を進めています。

矢崎の「ワイヤーハーネスにおけるPVCリサイクルへの取組み」
矢崎の「ワイヤーハーネスにおけるPVCリサイクルへの取組み」

 これまで、廃電線を粉砕して樹脂を取り出す従来のナゲット法では、樹脂の中に金属が混入してしまい、完全に分離できないという大きな課題がありました。しかし同社は、東北大学との連携により、金属と樹脂の分離技術を確立しました。

 この画期的な新技術では、ドアハーネスなどの廃電線を20cmほどに切断した後、溶剤に浸漬させます。

 担当者はそのメカニズムについて、「電線を溶剤に浸けることで、被覆の樹脂がちくわのように膨潤し、およそ1.5倍の大きさになります。これにより内側の銅線との密着が剥がれます」と説明します。

 その後、ボールミルと呼ばれる装置に投入し、衝撃と回転の力を加えることで、導体、被覆、外装テープなどをきれいに分離させます。

 担当者はさらに、「ボールミルの中で回転させる工程は、ドラム式洗濯機の乾燥機の中で毛玉から毛糸が抜けていくようなイメージです。中からパラパラと銅線が抜け落ちていき、およそ3時間程度で処理が可能です」と、その独自のプロセスについて語りました。

 この技術により、これまで困難であった電線と外装の完全な選別が可能となり、廃棄物の大幅な削減とリサイクル効率の向上に大きく貢献します。

 別の担当者は「ワイヤーハーネスメーカーとして、世に出したら終わりではなく、回収・リサイクルしてまたクルマに戻す。そんなCar to Carの取り組みが非常に重要だと思っています」と話していました。

 高純度なPVCを回収して再利用することで、バージン材の使用量を減らし、CO2排出量の削減にもつながる重要な技術として、今後の自動車産業を支える基盤になることが期待されます。

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