日産「新型エルグランド」まもなく発売! わずか「1.5リッター」なのにライバル「アルファード」を大きく超えた!? 全面刷新された“キング・オブ・ミニバン”の「異次元な走り」とは
発売直前! 新型「エルグランド」をひと足お先に「チェック」してみたら
ついに正式発表&発売へのカウントダウンが始まった日産の新型「エルグランド」。今夏の市販に先駆け、筆者(工藤貴宏)はテストコースで試作車両に乗ることができました。
【画像】16年ぶり全面刷新! これが日産「“新型”エルグランド」の内装です! 画像で見る(30枚以上)
それを通して感じたライバルのトヨタ「アルファード」との違い、そして新型エルグランドの強みについて、詳しくお伝えしましょう。
エルグランドといえば、1997年にデビューした初代が大ヒットし、日本市場において大型プレミアムミニバンを知らしめたパイオニアです。
2010年にデビューし、ロングセラーとなっている現行モデル(3代目)は、「キング・オブ・ミニバン」の復権を目指し、それまでの初代や2代目が後輪駆動ベースだったのに対して、前輪駆動ベースへと車体構造を大きくシフトしました。
一方、低重心化による素直なハンドリングが運転好きに大きく支持されていることを知る人は多いでしょう。
さて、実際に乗った新型(4代目)の仕上がりはどうだったのでしょうか。

まず感じたのは、圧倒的な静粛性。室内の静粛性は新幹線くらい……はちょっと言い過ぎかもしれないけれど、エンジンが付いたクルマとは思えないほどの静けさなのです。
何を隠そう、新型エルグランドは歴代初のハイブリッド搭載車。しかも全仕様がハイブリッドとなります。
排気量1.5リッターのターボエンジンに前後2つのモーターを組み合わせる、日産が「e-POWER」と呼ぶシリーズハイブリッドです。エンジンは発電に特化し、そこで起した電気を使ってモーターを回して駆動力とします。
「ハイブリッドなんだから、エンジンを止めているときは静かで当然でしょ」と思うかもしれません。
でも違うんです。エンジンが動き始めても静かなのです。高速領域でも車内は本当に静まり返っています。
もともとe-POWERは静かなハイブリッドですが、エルグランドはその水準が一段と、いや2段くらい引き上げられた印象です。
エンジンが掛かっても、ライバルのラージミニバンのハイブリッドモデルより静かなことに驚きました。ライバルも相当静かですけどね。
エンジンをかけても静かなのは、充電のために動かすエンジンの回転数制御が効いているから。
音が目立ちそうな状況ではエンジン回転数を上げず、加速に応じてエンジン回転を上げるといった精緻な制御で、エンジンの音が目立たないようにしているのだと感じました。いずれにせよ、静粛性が素晴らしい次元です。
試乗後に開発者に尋ねたところ、高いレベルで車体の遮音性を高めたうえで「アクティブノイズコントロールも大きく効いている」とのこと。
これは騒音に対して音を打ち消す音を当てて、騒音を減らす電子的な仕掛け。ノイズキャンセリングイヤホンと同じ原理です。
新型エルグランドに組み込まれているそれは、制御がより綿密になり、より幅広い音域に効果を発揮しているのだとか。
イヤホンと違ってオン/オフできないので、どのくらい効いているかは確かめられないんですけどね(追記:後日確認したところ、オン/オフの設定ができる模様。お詫びして訂正いたします)。
電動4WD制御が生む「ハンドリング」があまりに異次元すぎた!
そして次に感じた新型エルグランドの強みは、運転感覚にあります。
「静けさ」が乗る人みんなにとってのメリットだったのに対して、こちらはドライバーにとっての魅力、「ハンドリング」です。

ハンドリングの真骨頂は、とにもかくにもライントレース性が挙げられます。
クルマは一般的に、アクセルを踏みながら旋回姿勢が続くと、コーナーの外側へ膨らむような挙動となります。
特に前輪駆動ベースのモデル(その4WD版では前輪よりも後輪の駆動力が小さなモデル)だとそれが顕著に現れるものです。
しかし新型エルグランドは、気持ちよいくらいに一定の軌跡を描こうとするのです。いわゆる「オン・ザ・レール感覚」というやつですね。これがまた気持ちいいのです。
旋回の立ち上がりから直線に戻る際に、アクセルをグッと踏み込みながら気持ちよく曲がる感覚は、まさに「爽快」すぎます。この気持ちよさは、普通の大型ミニバンではちょっと味わえません。
車体が大きくて、重くて、重心も高くて、(前後ツインモーターですが)前輪駆動ベースのミニバンなのに、どうして旋回時にこんな挙動を示すのか。その答えが「e-4ORCE」と日産が呼ぶ前後ツインモーターの電動駆動4輪制御システムにあります。
なお新型エルグランドは、全仕様ともツインモーターの4WDとなる模様です。
新型エルグランドの場合、後輪モーターを世間一般水準より大きめとして、旋回中は積極的に後輪へトルクを送る制御を実施。後輪へトルクを送る分だけ前輪の負担が減って、そのぶん曲がる力を生み出せるからしっかり曲がるというわけです。
ミドルクラスSUVの「エクストレイル e-4ORCE」に峠道で乗ると、そのオン・ザ・レール感覚の高さに驚きますが、新型エルグランドは大型ミニバンでもそれを味わえるのです。これは素晴らしいことで、とにかく「運転が楽しい」の一言に尽きます。
いやいや、「ミニバンなのに運転の気持ちよさを語るなんて」と思う人もいるかもしれません。
でも、ミニバンだって走りがいいに越したことはないのです。運動能力が上がって事故回避性能も高まる利点もあります。
もともと現行モデルだって、ハンドリングに定評があったエルグランドですから、ここは外せないポイントでしょう。
運転を楽しみたいオーナーなら、きっと新型エルグランドの異次元な走りに共感できるに違いありません。
ちなみに新型エルグランドは全車4WDというだけでなく、状況に応じて硬さが変化する電子制御ショックアブソーバーも全車に標準装備されます。
開発陣によると「乗り心地も自慢」とのことですが、それはテストコースだと判断しきれない部分もあるので、公道試乗で白黒つけましょう。
一般論でいえば、電子制御ショックアブソーバー装着車は、乗り心地と走りを高い次元で両立できるようになります。
ところで「わずか1.5リッター」でも本当に大丈夫なの!?
ところで、新型エルグランドのエンジンの排気量は、前述の通り、わずか1.5リッターの直列3気筒です。
毎年の自動車税がコンパクトカー「ノート」と同じ額で済む一方で、いくらターボ付きとはいえ、この重そうな車体(正確な車体重量は現段階で非公表)に小さなエンジンで大丈夫なのか、と気になる人もいるに違いありません。
でも、結論からいえば問題なし。むしろ車体をグイグイ加速させることに驚かされます。

実は日産のハイブリッド“e-POWER”は、駆動力を生み出すのがすべてモーターであり、絶対的な加速力を決めるのはエンジンではなくモーターの能力。だから心配はいらないのです。
新型エルグランドのモーターのトルク(前後モーターが同時に発生できるトルク)はまだ明らかになっていませんが、開発者によると「500Nm以上」とのこと。
トルクウェイトレシオでは現行車に勝り、ライバルのハイブリッド4WDをもリードしているといいます。500Nmですよ。
ただ、現行型の6気筒エンジンと違って、アクセルを踏み込んだ時に「グイッ」と前へ出るワイルドな反応が新型にはないのは筆者としてはちょっと残念に感じたところ。
「上質な走りのためにそこは抑えた」そうで、その考え方は理解できます。
ですが、走行モードを「SPORT」にした時くらいは、もっと野性味を感じさせてもいいと思うのは筆者だけでしょうか。
今後、ニスモによるECUチューンのメニューとか、課金すると解放される裏モードとして、さらなるスポーツモード(例えば「SPORT+」)などを設定してもいいかもしれませんね。
※ ※ ※
いずれにせよ、新型エルグランドの動的能力は、静かなうえハンドリングも良好。テストコースで乗った印象では、上質な乗り心地も期待してよさそうな感触でした。
首を長くして新型の登場を待っていたエルグランドユーザーにとっては、「待っただけの甲斐はありますよ」とお伝えしておきましょう。
あとは価格が気になりますが、果たしてどうなるのか。今後の正式発表が今から気になるところです。
[※編集部注記:2026年5月19日 13:00 本文の一部を修正しました]

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