「めっちゃ速いやん!」 トヨタ「bZ4Xツーリング」乗った印象は? 「走りにおいて何一つ諦めない」開発者の想い…! クルマとしての魅力はいかに
「走り」と「広さ」にこだわった「bZ4X Touring」
トヨタはカーボンニュートラル実現に向けて、BEV(電気自動車)のみに絞るのではなく、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、水素(燃料電池車)、そしてエンジン車まで、エネルギー事情やユーザーのライフスタイルに合わせて多様な選択肢を用意する「マルチパスウェイ」戦略を掲げています。
その重要な柱の一つであるBEVですが、2025年度下半期の国内BEV販売台数でトップに輝いた「bZ4X」をはじめ着実に普及が進む一方で、販売現場からは「充電に対する不安」という切実な声が多く寄せられているようです。依然として、この見えない「壁」がBEVの選択をためらう大きな要因となっています。
この課題をブレイクスルーすべく、トヨタはクルマ(商品)の進化に加えて、全国に広がるトヨタ・レクサス販売店のネットワークを活かした新たな充電サービス「TEEMO」を展開し、インフラ面からもユーザーの不安払拭に本腰を入れています。
今回は、こうしたBEVを取り巻く環境の中で2月25日に発売を迎えた新型「bZ4X Touring」の魅力を自動車ジャーナリスト・工藤貴宏氏が試乗を通じて紐解いていきます。
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「これめっちゃ速いやん!」
おもわずそうつぶやいてしまった「bZ4Xツーリング」の試乗。
bZ4Xツーリングはトヨタの新型EVで、名前からも想像できるように「bZ4X」の派生モデルです。
2850mmのホイールベースはそのままでCピラーまでの車体構造を変えずに、リヤオーバーハングを140mm延長。
言うなればハッチバックのbZ4Xに対し、荷室を広げたステーションワゴンです。
荷室の広さはbZ4Xの約1.4倍にまで拡大されているのでキャンプなど荷物が増えがちなレジャーを楽しむ人に最適のパッケージングといえるでしょう。
しかし、車体が大きくなるといえば重量が重くなるということ。
車両重量1990kgのbZ4X(ZグレードのAWDモデル)に対して“ツーリング”の同グレードは2030kg。
ふつうに考えれば、bZ4Xと同等未満の加速になるはずです(それでも十分に速いですが)。
しかし、実際のツーリングの加速はそんなものではありませんでした。
2トンを超える重量級ながら想像を超える速さで、頭の中は「???」です。どうしてこんなに速いのでしょうか。

落ち着いてスペック表を確認したところ、その理由は明確でした。
モーターの出力が高められているのです。
フロントモーターは最高出力227PS/最大トルク268NmでbZ4Xと共通ですが、4WDモデルに組み込まれるリヤモーターはbZ4Xの120PSに対してツーリングは223PS。トルクも169Nmから268Nmに拡大されているじゃないの!
ラゲッジルームの容量アップに際して、単に車体を大型化するだけでなくモーターの出力まで上げてきたこと。それがこのクルマの何よりの面白さといっていいのではないでしょうか。
前後モーターを掛け合わせたシステム出力はなんと380PS(bZ4Xは342PS)。
それだけあれば2トン越えのボディとはいえ、驚くほどの速さになるとも当然のこと。ちなみに0-100km/h加速性能はbZ4Xの5.1秒に対してツーリングは4.5秒だとか。車体が大きいのにより速い!
ただ、ここでお伝えしておきたいのは加速の“質”です。
加速の質ってどういうコト? 乗った印象とは?
ひと昔前のハイパワーEVはアクセルをグイッと強く踏みつけると後ろから蹴飛ばされたかのように乱暴かつ強引に前へ押し出される刺激の強い感覚でしたが、bZ4Xツーリングはそうではなくあくまでも自然な感覚。
エンジン車のような伸びやかさもしっかりあって、ガソリン車から乗り換えても違和感がないものに仕上がっています。
世間一般的には「リニアリティがある」っていうんですかね、こういうの。
ちなみに1充電の航続距離はそれと、4WDの20インチ車で627km。734kmはFWDの18インチ車です。
FWDの18インチ車でれば「頑張って650キロくらい」と考えても、東京~大阪間は無充電で移動可能。
さすがに無充電だと目的地に近づく頃は残量が心配になるかもしれませんが、途中の食事休憩時に充電すればストレスなく東京~大阪の移動ができるでしょう。

しかしこのパワフルな動力性能に関しては、「鋭い加速をするため」というだけでなく「ゆとりある走りのためのトルク感」と考えるとしっくりきます。
大人4人が乗り、荷物を満載したうえでも余裕をもって高速クルーズしたり山道をグイグイ上っていけるためのパワートレインだと筆者は感じました。
ハンドリングに関しては、曲がりくねった峠道をシャープに走るのとは違い、“ツーリング”という車名にふさわしいおっとりとした感触。それは高速道路の長時間巡航で疲れにくい味付けというわけ。
でも、ハンドル操作の正確性はしっかりとあるので自分の思い通りに車体が動く感触は好印象。
コーナリングの立ち上がりで直進に変化していくシーンで、アクセルを踏み込みながらハンドルを戻していく際のスススッと曲がる感じはかなり気持ちいいです。
bZ4Xの“約1.4倍” 最大の魅力「荷室部分」はどんな感じ?
ところで、bZ4Xの“約1.4倍”となるラゲッジルームは具体的にいえば、上下調整式の床面を下げた状態でそのボード上の空間容量が441LとなるbZ4Xに対し、ツーリングは619L。
後席使用時の床面の前後長はbZ4Xが985mmなのに対し、ツーリングは1092mmとなっています。
1092mmという前後長は、大型セダンの「カムリ」に匹敵するレベル。
実際の奥行きはカムリより少し短いですが、カムリに比べると天地高があるので荷室の広さでは断然bZ4Xツーリングが優勢です。
参考までに、日本で販売しているトヨタ車において、後席(2列目)使用時の荷室容量が600Lを超えるのはミニバンや「ランドクルーザー」などごく一部のモデルだけ。bZ4Xツーリングの荷室の広さはなかなかです。

さて、そんなbZ4Xツーリングを選ぶべきなのはどんな人でしょう。
まずいえるのは、ステーションワゴンボディのEVが欲しい人。
EVでここまで荷室が広い乗用車は国産では唯一だから、EV狙いで荷物をたくさん積んで出かける人にはぜひオススメ。
最低地上高を180mm確保したSUVクロスオーバーで多少荒れた道も神経を使わずに走れるから、キャンプを楽しむ人とのマッチングもいいですよね。

いっぽう運転していて気になったのは、全長4830mm×全幅1860mmのボディは運転するのに慣れが必要で、狭い道や駐車場などでは気を遣うこと。
「アルファード」よりは15cm以上短いので大きいクルマを運転することをいとわない人は気にしなくてもいいですが、一般的なサイズのクルマからの乗り換えは注意が必要でしょう。
あと、乗り心地が悪いとまではいきませんが、路面状況によっては車体の上下動が気になる人もいるかもしれません。そこは試乗でチェックし納得してから買うといいでしょう。
それにしても、ゆとりの動力性能と安定感重視のハンドリングによる高速巡航性能の高さは、グランドツーリングカーとしての素性の良さを感じさせるもの。
WLTC計測のカタログ値とはいえ700kmを超える1充電航続距離も含めて、長距離移動を語れるEVが出てきたことを実感しました。
大切なので最後にもう一度繰り返しておきますが、“広い荷室”と“長距離移動”がbZ4Xツーリングを語る上でのポイントとなるでしょう。
試乗の後日に開発者へ質問! 工藤氏が気になった部分とは?
工藤氏が試乗した後日、新型bZ4X Touringの開発陣に話を聞くことが出来ました。bZ4Xとの違いから、そこに込められた開発の狙いまでを紹介していきます
ーー ハンドリングの方向性や狙いは、bZ4Xと違うのでしょうか?
bZ4Xが持つ優れた直進安定性はそのまま堅持しつつ、パワーステアリング(EPS)のセッティングを一段軽く設定しています。
キビキビとしたスポーツ走行というよりも、長距離をゆったりと移動できる「グランドツアラー」としての性格付けを狙いました。片手でもリラックスして保持できるような、スッキリと軽やかな操作感を目指しています。
ーー 今回、リアモーターの出力を上げた理由を教えてください。
最大の目的は、アウトドアSUVとしての「脱出性能」と「走破性能」の底上げです。従来のリア87kWという出力では、極限状態の路面においてリア側が駆動のボトルネックになってしまうケースがありました。
そこで前後を167kWで揃えることで、四駆としてのトータルバランスを最適化しています。これによって、どんな路面状況でも「最後まで車が裏切らずに粘る」特性を実現しました。
ーー 車体についてですが、CピラーまではbZ4Xと共通ですか? また、追加のボディ補強などは入っているのでしょうか?
大型の環状構造をはじめとする基本骨格はbZ4Xと共通です。bZ4Xの時点ですでに十分なボディ剛性を確保できているという判断から、剛性向上のための構造部材の追加は行っていません。
ただ、リアを140mm延長したことに伴う質量の増加や、積載荷重が増えることに対する「強度」を担保するための構造最適化は実施しています。「質量は増えたけれど、走りにおいて何一つ諦めない」という強い思いでセッティングを施しました。

ーー インテリアの仕立てについて、bZ4Xとの違いはありますか?
機能面は共通ですが、視覚や触覚に訴えかける「仕立て」の部分で差別化を図っています。具体的には、インパネ上部のフラットな部分の素材(絞りやテクスチャー)を変更し、bZ4Xとは異なる上質感を演出しました。
またカラー展開についても、我々開発陣が思い入れを持って守り抜いた「ブロンズ」や「カーキ」を採用し、アースカラーとしての独自の世界観を強調しています。
ーー 今後、買いやすいベーシックグレードが出る予定はないのでしょうか?
海外でのミッドグレード展開など、ハードウェアとしてのポテンシャルは十分にありますが、日本国内への導入は今後のマーケットからのご要望次第です。
現状としては、bZ4Xの「Gグレード」が補助金込みで300万円台という非常に強力な選択肢として存在していますので、まずはそちらをBEVへの入り口としてご検討いただければと考えております。

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