トヨタ「ヤリスクロス」サイズの「ジュニア」に注目ッ!アルファロメオの末っ子だけど「いい塩梅の刺激」あり!絶妙な“個性ある味付け”が光る乗り味とは?【試乗記】
小さいボディに凝縮された“アルファロメオらしさ”
アルファロメオの末っ子SUVとして登場した「ジュニア」。当初は「ミラノ」と呼ばれていましたが、イタリア政府が同名称の使用を認めず(ポーランドで製造されるため)、発表からわずか5日後に名称が変更されました。
【画像】超カッコイイ! これがトヨタ「ヤリスクロス」サイズの“個性”溢れる「コンパクトSUV」です! 画像を見る!(29枚)
ジュニアの名は1960年代に登場した「GT1300ジュニア」に由来します。このモデルは「ジュリア スプリントGT」の弟分として、若者向けの手軽な入門スポーツモデルでしたが、コンパクトなボディサイズはもちろん、アルファロメオの“入り口”という意味でも、筆者(山本シンヤ)としてはミラノよりふさわしい名称だと思います。
今回、進化した「トナーレ」の試乗とあわせて、改めてMHEVモデルにも試乗しました。その印象は、ヤンチャな兄貴たちに対して、落ち着きのある末っ子といった感じです。

エクステリアは「新しいのに懐かしい」デザインです。ボディサイズは全長4195mm×全全幅1780mm×全高1585mmとトヨタ「ヤリス クロス」とほぼ同等ですが、兄貴分の「ステルヴィオ」やトナーレのシルエットを踏襲し、低いルーフラインや、タイヤの存在感を強調したグラマラスなフェンダー、コーダトロンカ形状(歴代アルファロメオが採用)のリアなどにより、小さいながらも実に堂々としたスタイルに仕上がっています。
インテリアは、アナログとデジタルを上手に融合したインパネまわりにトナーレとの共通性が見られますが、インパネ内蔵のインフォテインメント(デザイン的にはスマートですが視認性は今ひとつ)やシフトまわり(プジョー系との共通部品)は異なります。
なお、「国産車と比べて装備面が…」と心配する人もいるかもしれませんが、安全装備や運転支援機能など、現代のクルマに必要な装備はほぼ揃っています。
居住性については前席優先なのは言うまでもありませんが、前席が身長170cm以下の人のシートポジションであれば、後席も足元・頭上ともに十分なスペースが確保されており、見た目に反して実用性も高いです。
メカニズムは、パワートレイン/プラットフォームともにステランティスグループの技術をフル活用しています。
パワートレインは1.2リッターターボ(136ps/230Nm)にモーター内蔵(22ps/51Nm)の6速DCT(48Vマイルドハイブリッド:e-DCT)を組み合わせ、プラットフォームはCMPを採用。
プジョー「208」やジープ「アベンジャー」、フィアット「600」と共用していますが、いずれもアルファロメオ向けに最適化されています。
これは筆者の私見ですが、「クルマづくりは制約があるほど“味付け”の重要性が際立つ」と思っています。つまり、ハードよりもハートが大事ということ。
そんなジュニアの味付けは、アルファロメオ開発陣の中でもエース級のエンジニアが担当しているそうです。
“いい塩梅の刺激”あり―末っ子アルファの実力とは?
パワートレインはEV走行も可能なストロング寄りのマイルドハイブリッドですが、兄貴分のトナーレよりもエンジンとモーターの協調がうまく、スムーズな印象です。
このあたりは同じパワートレインを搭載するプジョー系モデルと似ていますが、ドライブモード(D.N.A)を「D(ダイナミック)」にすると、シフトのキレの良さや低中速域でのトルクの盛り上がりに、わずかながらアルファらしいドラマ性を感じます。
ただし、エンジン回転の伸びやサウンドなどを含め、歴代アルファロメオに見られた高揚感はやや控えめです。

フットワークはアルファロメオらしさを感じさせつつも、やり過ぎていない絶妙なバランスです。
ステルヴィオやトナーレほど俊敏な初期応答ではなく、フロントタイヤを軸に鋭く曲がる感覚も控えめですが、ロールをうまく使いながら4輪にしっかり仕事を分散させ、アンダーもオーバーも抑えつつ、オン・ザ・レールのように素直で気持ちよく曲がります。
そうした意味では、分かりやすさや刺激は兄貴分よりやや控えめで、人によっては“普通”に感じるかもしれません。
しかし、日常域+αまで気負わずにスポーツ性を楽しめるセットアップで、アルファロメオらしい旨味はしっかり感じられました。

ただし、これはアルファロメオのラインナップ内での話であり、同クラスのライバルと比べれば、分かりやすさも刺激も十分にあります。
少し古い例えですが、個人的にはステルヴィオ/トナーレが「155スポーティバ」なら、ジュニアは「155スーパー」に近い乗り味だと感じました。
乗り心地は兄貴分のトナーレよりも入力が穏やかで、やや時間をかけて減衰させる特性もあり、スポーツ系モデルとしては快適性も良好です。
後席にも座って確認しましたが、低速域ではややバネ下のバタつきが感じられるものの、フラット感は高く、ファミリーカーとして使っても不満は出にくいでしょう。

そろそろ結論です。ジュニアは、末っ子の特徴のひとつである洞察力の高さが活きた一台で、決して分かりやすいインパクトはないものの、絶妙なバランスと“いい塩梅”で成り立つアルファロメオだと感じました。
また、「小さいけれど我慢しない」「小さいけれど誇れる」という点では、キャラクターは異なるもののレクサス「LBX」と通じる部分もあるのかもしれません。
実際、ジュニア発売以降のアルファロメオの販売台数は、世界・日本ともに前年を大きく上回っています。
つまり、新世代アルファロメオに共感する人が増えているということです。あなたも、その一人になってみませんか。

ライブカメラ



